2021年12月31日(金)

▼県に一見勝之知事、国に岸田文雄首相、そして米国にバイデン大統領が誕生した。イメージに過ぎないが、いずれも前任者とタイプが異なる。ともに年末から新年にかけて「ハネムーン期間」が終わる。変化を予感させる年の暮れである

▼バイデン大統領は勝利宣言演説で「アメリカの魂を取り戻す」とどこかで聞いたようなことを言った。気分が高揚したときの米国お決まりの旧約聖書を引用し「なにごとにも時がある…。建てる時、植えたものを抜く時、植える時、癒やす時」と言って「アメリカは今、まさに癒やす時です」

▼「時の詩」の一節。「癒やす時」の前は「殺すに時がある」。戦争と対の言葉だ。石を投げる時、集める時、求める時、失う時などとたたみかけ、神は人に苦労を与えてもすべてを時にかなって麗しく造り、永遠の心を人に与える。が「人はそれを初めから終わりまで見ることができない」

▼神の造った麗しき全体は知ることができないし、逆もまたしかり。一寸先は闇、いや光かも、である。人は現在から確信できることは何もない。絶望も増長も、麗しき全体を知らぬがゆえ―。そのことを思い知らされたコロナの二年目だ

▼先日「三日坊主」を書いて「三」にまつわる教え、慣用句が実に多いのを改めて知った。明智光秀の天下は「三日」に改ざんされている。「石の上にも三年」など用例は善悪を問わぬ

▼「三日先知れば長者」は先見の明があれば大金持ちになれる例え。人は三日先のことすら分からぬということでもある。そんな実感をこれまで以上心に刻み込まされて今年は暮れる。