2021年12月9日(木)

▼桑名市で小学5年の女児が後ろからきた車にはねられ、左足骨折などの重傷を負った。衝撃、恐怖は察するに余りある。「命に別条はない」の報道にホッと胸をなでおろす。一歩間違えればどうなったか。そう思うと、救助もせずに逃走した車に怒りがこみ上げてくる

▼現場付近に止まっていた車の男性運転手を任意で事情聴取しているという。どう関係しているかは分からぬが、昔三重大教授がひき逃げ容疑で拘束されたことを思い出す。しばらくして戻ってきたところを捕まった。「動転して、現場を離れてしまった」という本人コメントが載っていたが警察情報だろう

▼「まったく違う」と後日、同教授は報道への不満を語った。相手の状態を確認し、事故の連絡のため付近の家に電話を借りに行き、戻ったのだという。ほかにも言い分はあり「一段落したら聞いてほしい」と言われたがそれっきり。やがて他県へ転勤した

▼「栄転ですか」と聞いたら給料の大幅減などの不満を語った。意に沿わぬ異動だったようだ。同大学改革のころ、新体制への不満も聞かされ、なるほどと思って別の教授に感想を求めたら「今の時代、そんなことを言うとはどうかしている」と言われた。ひき逃げで拘束された時もさまざまな思いが巡り、どれが真実でどれがウソということはないのかもしれない

▼桑名市の女児は同級生と2人で歩いていてその同級生も軽傷を負った。結果の重大さに動転したとしても、被害者の安否を第一にして踏みとどまる覚悟は、運転する権利と表裏一体の義務として普段から心得ていなければならない。