▼フリーアナウンサー徳光和夫さんのユーチューブの対談での発言が炎上しているという。お笑いタレントの明石家さんまさんの元気ぶりを評し「まだAKBの1人や2人妊娠させられる」と語り、AKBファンをはじめ「あまりにもひどい」と非難が殺到した。「なぜ問題なのか」の解説もアップされていた。理由が分からない人もいることを想定した配慮かもしれない
▼その時は手をたたいて笑ったホスト役やそのスタッフは、のち謝罪した。森喜朗元東京オリ・パラ組織委員長の女性蔑視発言を神妙に聞いていた全委員を思わせる。平成7年の参院選で、当時の堀之内久男農相が桑員地区で応援演説し「おかみさんが主人を差し置いて前に出てくる家は困りますよね」などと土井たか子旧社会党委員長を皮肉って聴取に大いに受けたが、のち女性差別発言として自民惨敗の一因にあげられたのにも似ている
▼「女性は産む機械」と発言して、当時最も勢いのある政治家として米誌に紹介された柳澤伯夫厚生労働相を失速させた。徳光さんは森元会長らとともに古い感覚の世代と一蹴されている
▼一緒に笑い沈黙した人らも〝同世代〟ということだろう。「何がセクハラ発言になるのか分からない」と言ったのは稲垣清文元副知事。時代とともに変遷するのがこの種の発言で、男社会で育った層の推移と連動しよう
▼女性活躍時代の到来近しといえようか。親が育てられない子どもを受け入れる赤ちゃんポストの慈恵病院が匿名出産への制度改正を求めるが行政の壁は厚く、世論の関心もいまひとつ。過度期ではあるようだ。