2017年8月23日(水)

▼山梨市の市長が職員採用に絡み虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕され、次いで現金を受け取ったとして収賄容疑で再逮捕。贈賄側として住職の元収入役と校長が逮捕された。市長、住職、収入役、教育者―。20年ほど前、鈴鹿市長の情実採用疑惑を取材した顔ぶれが出そろったことに思わず膝を打ちたくなる

▼当時の市長が元住職で、政治資金報告書に高額寄付者として記載されている支持者が「お寺さんに揚げ物をするつもりで」と語っていたし、鈴鹿市には教頭で50万円、校長で100万円、教育長に届けるといううわさがあり、後任教育長に赴任した県の教育次長が「そういう風土を一新するのが務め」と決意を表明した

▼教育長交代のきっかけは、日教組大会の会場に鈴鹿市の教育施設が候補にあがり、市役所前で連日、公私にわたり教育長批判が繰り広げられたこと。更迭に抗議して市教委幹部らが辞表を提出するパフォーマンスが効いたか、収入役に転じ、攻撃した人物ものち自治会長として市政への影響力を強めた

▼その子が市役所に採用されたのはそれからしばらくのことである。卒業した県立高校からの事務職採用は初めて。「難関でうちからはとてもとても」と教頭が言った

▼教員推薦が慣例だった任用を改め、初めて他校から赴任した教頭で、県教委の人事が初めて実効なった教頭だが、その子は学校からの紹介を断り「市役所に行く」。「特別枠があるんだと確信した」と教頭。言葉に問題意識はなかった

▼わずか20年ほど前の鈴鹿市の実態である。県の隅々から今一掃されているかどうか。