2021年10月30日(土)

▼木平芳定県教育長が変形労働時間制を学校現場に導入する方向であること明らかにした。令和元年12月の法改正で、国が公立学校教員への適用を可能としたからという。来年度から始めるつもりらしい。法改正から二年も経つが、適用するとなると素早い

▼法というのは労働基準法である。民間の労働者を対象にした法律で、労働時間などで無視することはできないものの、公務員は制度の適用外とされてきた。県が試行したフレックスタイム制にも本腰を入れた気配はないのに急に導入するのは、教員の長時間労働が社会問題化する中で、さいたま地裁の先月の残業代請求訴訟の判決と無関係ではあるまい

▼判決は、教員への残業代支給は退けたものの、超勤四項目以外の業務でも「労働時間に該当する」ものがあることを認定した。残業代そのものは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」上、支給しなくてよくても、労働時間に対価を払っていないとなれば損害賠償の対象になる。聞こえは、まことによろしくない

▼給特法自体についても、時代遅れだと指摘された。「ブラック職場」というもっぱらの定評が裏打ちされた格好。手をこまねいてはいられまい。変形労働時間制は、業務の繁閑に応じて労働時間を配分する制度。効率よく従業員を配置でき、使用者側のメリットは大きいが、従業員側も都合に合わせて勤務できるなど工夫次第。教員で可能か

▼残業時間削減が狙いだったり、教員が自由に勤務できるのでなければ、姑息ではあっても「働き方改革」とは言わない。