2021年8月3日(火)

▼娘が小さいころ夢中だったNHKの人気番組『おかあさんといっしょ』で流れていた「おべんとうばこのうた」(作詞・香山美子、作曲・小森昭宏)に「サルの尻尾にワニが食いついた」の一節がある

▼川辺の木にしがみついたサルの尻尾にワニがかみつく絵が添えられ「しめたと思って引っ張った」と続く。ワニの心境である。「サルも負けずに引っ張った。どっちも、つれたと思ってた」

▼金メダルラッシュが続いた東京五輪柔道で、インタビューに応えるメダリストたちが「厳しい状況の中、私たちのためにこうした大会を開いてくれた関係者の方々にまず感謝したい」。聞くたびに先の歌詞を思い浮かべた。選手も政府や国際オリンピック委員会(IOC)も「どっちも、つれたと思って」いるのだろう、と

▼柔道のメダルラッシュに快哉を叫んだ一人として、ジョージアの銀メダリスト2人が選手村を抜け出して観光し、大会参加資格を剥奪されたという報道には驚いた。味の素ナショナルトレーニングセンターに宿泊して準備して会場に向かう日本選手と違い、厳しく管理された選手村は練習もままならない。その中で、ジョージアは全階級に強豪をそろえ、大会を盛り上げた

▼1日2回の検査が義務づけられている選手村で、開会から10日を過ぎ、試合も終わった後外出したことが、東京五輪・パラリンピック組織委「目に余る事案だ」とまで言われることか。国際オリンピック委員会(IOC)役員は、1泊2、300万円の高級ホテル住まい

▼釣れたという思いを、こちらも満喫しているのは間違いあるまい。