2021年7月15日(木)

▼犬の排せつの迷惑はもっぱら日々の散歩で出くわすふんで、目立たぬ草むらは特に気をつけねばならないが、かつては犬みたいだと非難されて同類の親しみのあった小便の方も、大事故につながるとは知らなかった

▼この2月に鈴鹿市の交差点で、約6メートルの鉄製の信号柱が倒れた。犬が繰り返し尿をかけて腐食させたのが原因らしい。幸いけが人などはなかったが、大阪府池田市で平成28年、市営公園の照明柱が倒れた時は小4女児が手を骨折する重傷を負った

▼2メートル先の隣地と比べ、アンモニアに含まれる物質が9倍。鈴鹿市のケースは、同時期に設置された信号柱に比べ42倍の尿素が検出された。比較の物差しは異なるが、異常な濃度に違いない。県警は家で排せつするしつけを求めているが、本能ともいわれるマーキングはどうなるか。ストレスになるのでは気の毒な気もする

▼照明柱の場合は耐用年数が短くて10年で、倒れたのは21年以上経過していた。鈴鹿市の信号柱はどれくらいか。平成9年設置から24年。「今後しっかり管理し」(県警)とは耐用年数との絡みも対象に違いない

▼かつては東京、大阪には、ともに戦後の焼け跡闇市起源の飲み屋街、通称「しょうべん横丁」があり、路地の行き止まりになる奥からアンモニアの臭いが立ちこめてきた。犬も人間も立ち小便が当たり前の時代で、よく壁には神社の鳥居の記号が書かれていた

▼英国も事情は同じらしく、こちらは返し板が置かれていたという。液体が跳ね返ってくる仕組みらしい。同じ島国だが国民性がよく分かる話だと思った。