▼またもぶざまなことになりそうな様相。近く公表される国勢調査(速報値)の人口で、5月に改正した県議会議員定数条例の大義名分「一票の格差是正」が根本から揺らぎそうだからだ
▼条例に賛成した議員は「あまりの衝撃で、すぐには判断できない」と身も世もあらぬ風。反対した議員は「やはり拙速に採決せず、国勢調査の結果を待ってから決めるべきだった」。青木謙順議長は「副議長と相談するなどして対応を検討したい」。県民の議会不信がまた一つ、上塗りされることになる
▼定数に異論が出るのは当然で、全議員が納得するなどはその性格から不可能だが、だからこそ、昔は「全会一致」を何が何でも仕上げようとしてきた。そのため、まず「拙速批判」を回避した。たとえば議会が最も紛糾した正副議長選挙。最終日まで持ち越し、当日は禁足令を出して深夜まで、時には日付をまたぐまで議論を引きずり、全員ふらふらになった中で投票。「拙速批判」が出ることはなかった
▼定数改正でも、関係議員をまず気づかった。アメとムチを駆使して、ぎりぎり結論を遅らせ、最低限「やむを得ない」と思わせるまで粘った。「任期中に何としても仕上げたかった」などの理由をかつて聞いたことがなかった。今はは正副議長選も立候補制とスマートになったが、議会運営のエネルギーが弱まった気がする
▼勝利した側が敗者を批判するなどはその証左ではないか。引かれ者の小唄という。批判は敗者が勝者に向けられた。三分の理はあるということであり、舞台裏を見せることはしなかったということである。