2021年5月29日(土)

▼津市の旧自治会長問題について市の顧問弁護士で構成する調査チームが最終報告をまとめた。「市長に責任がある」という。おや、なかなかやるじゃないかと思ったら続きがあった。「―と指摘せざるを得ない」。「やりたくないんだが」という言葉が透けて見える

▼事務手続きのずさんさなど、県の外部監査報告書を読んでいる心地がしたが、一番近いのは裁判などの釈明書か。市長の責任は「全体で対処する機構的な備えを怠ってきた」。〝形式的責任〟あるいは〝道義的責任〟で、前葉泰幸市長は自身の責任として給与2カ月分の返上を表明した。それでお釣りがくるということだろう

▼報告書は、元自治会長が〝希代の悪代官〟で、それへの警戒心、恐怖心でおびえる市職員という構図。「同情できる余地がある」そうで、行政遂行の熱意を逆手にとられ、それが元自治会長の不当要求をかなえる「申出書」「要望書」を書くまでになったという

▼職員は感涙にむせぶに違いない。要求も、中間報告は「必ずしも不当な内容ではないものもあり」とあったが、最終報告は「(不当要求と言えないよう巧みに)装われ」。土下座も、それで元自治会長が収まるから幹部職員は自らしていた由。「異常な状態」と報告書は言うが、前川喜平元文部事務次官が「座右の銘は面従腹背」と言っていた。頭を下げて舌を出すのが役人の処世術の一つではある

▼今後市に必要なのは「毅然(きぜん)とした対応」「毅然とした気構え」ができる体制づくりという。毅然とした応対ばかりされている大多数の市民にとって、げんなりさせられる。