▼県内で初めて新型コロナのインド株感染者が確認された。急速に入れ替わっているとされる英国株になすすべなかった県が、より強力な感染力を持つ新たな脅威に直面して男性の接触者はいないといい「感染拡大の恐れはない」という。この自信はどこからくるのか
▼インドで二重変異株が見つかったのは3月。日本でのインド株初確認も検疫では3月末。検疫外では4月末。県内の男性がインドから帰国したのは2月下旬。政府が水際対策、すなわちインドを変異株の流行国に指定したのは4月28日。英国株に続き後手に回ったことは、県内男性が証明している
▼帰国時の検査は陰性だったという。県内ホテルで自主的に待機し、医療機関の検査を受けて陽性が判明した。県の保健環境研究所の検査では変異株は発見されず、国立感染症研究所のゲノム解析で、ようやくインド株と分かった。陽性判明時から無症状だったというから、感染力が一番高いとされている状態だったことになる
▼水際対策の2カ月も前に、県内男性は検疫をすり抜け、対応も自主的任せだったのである。県保健環境研究所に供えた検査機器もインド株に対応できていなかった。これから導入の方向で準備するという
▼いつもながらのお役所仕事だが、感染拡大のことになると「恐れはない」と言い切る。これも、いつもながらの「お役所仕事」の別の一面なのかもしれない
▼インド株が国内で報じられるようになって1カ月余。よそのことと見聞きしていたが、実はすぐ隣り合わせの危険だった。そんな思いをいつまで繰り返させられるのか。