2017年8月6日(日)

相模原障害者施設殺傷事件から一年。鈴木英敬知事は先の記者会見で「各施設での安全対策、防犯対策のためのハード設備の補正予算を展開。これからも各施設においてマニュアルの整備やハード整備、あるいは訓練も含め入所者の安心、安全を守れるように取り組んでいきたい」

▼ヘェーこれがその訓練かいと思ったのは、相模原事件を教訓に、という県立度会特別支援学校の四日の訓練だ。正面玄関から校舎内に入った想定で不審者役が「全員殺してやる」と叫んで模擬ナイフを振りかざし、教諭らが刺股で対抗する―

▼年末の金融機関強盗訓練にそっくり。池田小事件後各学校で相次いだ不審者撃退訓練のようでもある。伊勢署生活安全課長が「不審者を取り押さえるより子どもらの安全確保を優先して」。実戦で刃物男に刺股で立ち向かえるか。子どもとともに逃げてと言っているように聞こえる

▼相模原事件の犯人は通り魔ではない。内部に精通した元職員だ。侵入するのに「さあ、やってきたよ」と大声で知らせてはくれない。強そうな職員が宿直なら決行の日を改めようかと冷静な判断も働く。池田小事件の犯人は人の思い込みの虚を突いた。相模原事件は、入念な調査で、人知れずしてのけられると計算した

▼ハード整備で相模原事件が防げたか、というのは関係者共通の懸念。補うはずの訓練が心もとなく、不審者対応のマニュアルも的外れの様子

▼「障害者に対する差別的意識をなくしていくことが根本として大事」と知事。一年を経て、それが生かされていないことを訓練が教えてくれている気がする。