▼先月7日に解除したばかりの緊急警戒宣言の3度目の発令に追い込まれた。愛知県、大阪府の対策強化で、間に位置する県としても何らかの対応が必要ではあるが、県の感染状況も「極めて強い危機感を持っている」(鈴木英敬知事)段階であることは間違いない
▼解除前後はしばらく新たな感染者が1ケタ台が続き、ゼロの日もあるなど、宣言効果を感じさせたが、それもつかの間。月末から再び拡大に転じ、30件を超える日も。前回の宣言発令前後とそう変わりなくなった。その間、知事はしばしば気の緩みを引き締めるコメントを出すなど、以前の同時期に比べるとブレーキも踏んできた。深刻さはむしろ上かもしれない
▼知事は「まん延防止等重点措置」の国への要請ははまだ「その段階ではない」という。3度目の警戒宣言発令は重症者急増が理由で「第3波は高く長い波になったが、今回は低く短く短期集中で」。後手から先手へ切り替えたつもりかもしれない
▼求めるのは「まん延防止措置」地域への移動自粛、事業所、外国人の感染対策の徹底、重症者など感染者受け入れ体制の強化など。飲食店などへの営業時間短縮は見送り、感染対策の認証制度を設ける。期間もゴールデンウイーク明けのぎりぎりの5日まで。総花的ではなく、重点的ということだろう
▼変異株の出現など、ウイルスは人間の思いもせぬ動きをすることを思い知らされてきた。重症者急増は変異株が原因で、そのための医療切迫と認めながら、変異株に絞り込んだ対策は打ち出せないでいる。短期集中で功を奏すかは予断を許すまい。