<まる見えリポート>サッカーJFL開幕 Jチーム誕生に現実味

【鈴鹿ポイントゲッターズ―ホンダロックSC 今季JFL開幕戦、試合終了間際に同点ゴールを決めたMF西村を祝福する鈴鹿の選手ら=14日、スポーツの杜鈴鹿で】

三重のサッカー界に球春が来た。県内にJリーグチームのない県勢にとって最上位カテゴリーの国内アマ最高峰リーグ、日本フットボールリーグ(JFL)が3月14日に開幕。Jリーグ1部(J1)から見て4部相当の同リーグに県内から「ヴィアティン三重」と「鈴鹿ポイントゲッターズ」の2チームが出場し、それぞれホーム開幕戦も終えた。いまだ収束の気配を見せない新型コロナウイルスの影響で、JリーグはJFLからJリーグ3部(J3)への参入条件のうち「ホーム戦の平均観客動員数2千人超」の入場者数要件を昨年に続いて除外。2年連続の特例措置で、悲願のJチーム誕生が現実味を帯びる。

2年連続の要件緩和で、例年以上に重視されるのが成績。Jリーグの定めるJ3参入の成績要件は、J3クラブライセンスを取得した上で今季のJFLで4位以内かつ、「Jリーグ百年構想クラブ」のうち上位2クラブに入ることだ。

昨年2月に県内クラブで初めてJリーグ準加盟に相当する百年構想クラブに認定、9月にJ3ライセンス交付の承認も受け、現在、県内で最もJ入りに近い位置にいるヴィアティン三重は28日の第3節を終えた時点で全17チーム中8位につけている。

2019シーズンから、Jリーグの指導経験に加えて、14年から17年まで監督を務めたレノファ山口FCではチームをJFLからJ2に昇格させた実績を持つ上野展裕監督がチームを率いている。

今季登録の25選手中新加入選手は約半数の11人。全体の6位で終えた昨シーズン後、得点力向上をテーマにチームを再編成。昨年度JFL得点王のFW酒井達磨を松江シティFCから獲得するなど即戦力を補強したが、一部の選手で故障による出遅れもあって通算成績は1勝2敗にとどまる。

ホーム開幕戦だった第2節のFCマルヤス岡崎戦を0―1で落とした後、「連携にまだ少し時間がかかる」と厳しい表情で見通しを述べた上野監督。主将のMF塩谷仁は「下を向かず、目標をぶらさずに行くことが大事」と前を向く。

一方、鈴鹿ポイントゲッターズは第3節終了時点で通算成績2勝1分けの無敗を維持し暫定順位は3位。19年から指揮を執るスペイン出身のミラグロス・マルティネス監督の掲げる攻撃的なサッカーの浸透に加え、守備力の安定で過去最高の5位でフィニッシュした旧チームから23人が残留。その経験値が序盤の好ダッシュにつながっている。

昨シーズン以降、中盤から前線の選手を中心に10人が新たに加わり、より多彩な攻撃を目指す。ヴィアティン三重から移籍加入し、正確なキックを武器にボランチの定位置獲得を目指すMF西村仁志は「1人1人違う個性がある。難しさもあるがかみ合えば凄いサッカーが出来る予感がする」と期待を示す。

ヴィアティン三重に続き今年2月、百年構想クラブに認定された。スタジアムの整備スケジュールの関係で、J3ライセンスの申請時期は来季にずれ込む公算が大きいと見られていたが、運営会社「アンリミテッド」の吉田雅一社長はリーグ開幕直前になって「色々なハードルはあるが今年申請を出せるよう目指していきたい」と話すなど今季中のJ3参入挑戦に含みを持たせる。

いずれにせよ焦点はJFLの最終順位。今季JFLを戦う17チーム中、百年構想クラブはヴィアティン三重、鈴鹿ポイントゲッターズを含めた7チームに上り、最終節の12月まで激しい戦いが繰り広げられそうだ。