▼首都圏一都3県の緊急事態宣言解除を前に、鈴木英敬知事は17日、「警戒感を緩める状況ではない」と県民に呼びかけた。大人数で長時間に及ぶ歓送迎会などへの参加を控えよう、と
▼その2日後、県内の宿泊施設対象の県民限定「みえ得トラベルクーポン」発行を発表した。それら施設で歓談するなど、大いに楽しんでもらいたいということだろう。新型コロナウイルスを封じ込めるか、拡大につながる危険を冒して観光振興へ転じるか。いつもながらの定まらぬ腰の構え。察しる、察しる
▼知事はこれまで感染状況が低減するたびに「県民の協力のおかげ」と感謝の意を表しながら景気浮揚策を急ぎ、宣言解除後などの感染拡大を招いてきた。県民の協力、成果を台無しにしてきたと言えなくもない。「成果が水泡に帰すことが絶対にあってはならない」と県独自の緊急警戒宣言解除に際し語った
▼今度こその決意だろう。クーポン発行を10日間控えたのもそのためだろうが、首都圏の緊急事態宣言解除と合わせたような発行に、再び繰り返さぬ成算はあるのだろうか。首都圏の解除は、下げ止まりやリバウンドの兆しで手詰まり感からと言われる。不安は県も無縁ではない
▼知事も「リバウンドを防ぐため」クーポン利用を短期間にしたという。おっかなびっくりだが、どう使えば防げるか語らない。変異ウイルスがどこからどう侵攻してきたなど、県は県民に協力は求めても、肝心の情報は知らせようとしない
▼「(県)民は由らしむべし,知らしむべからず」―県民というより愚民、と思っているのかもしれない。