▼新型コロナウイルス感染に伴う差別や誹謗中傷に対応するため、県内関係機関が集う人権プラットフォーム会議に関連した県議会審議。鈴木英敬知事が国の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」委員や全国知事会で見聞した他県の高校の事例に基づいて被害の実態を説明したのに対し、本紙『記者席』が県の事例に触れないことに首をかしげた
▼県立高校教諭が生徒に「お前来たで危ないでマスクするわ」と発言した問題。身近な事例を踏まえてこそ実効性のある対策が生まれるのではないかというのである。国のWG委員や全国知事会の調査などで深刻な被害への知事の思いが募り、プラットフォーム会議発足を主導した。警察、法務局、弁護士など実効性ある機関が被害者に寄り添い、解決へのアプローチをしていくという
▼寄り添うのが苦手な機関のような気もするが、知事は虐待対策として児童福祉法で規定された要保護児童対策地域協議会(要対協)を参考に会議を進化させる方針。「要対協は年々やり方を進化させている。実効性を高めていきたい」
▼県の重篤虐待児事例で議事録が整備されているのは3件。いずれも要対協の連携の悪さが検証委員会に指摘されている。議論されることもなく虐待死した例も。そうそうたるメンバーが自分のこととして受け止めていなかった
▼児童相談所や市との連携もお粗末で、児童に寄り添うより、他機関への依存が大きかった。知事の要対協対する現状評価が正しいとして、それまで20年。会議の進化の道のりが、そんなに遠くては仕方あるまい。