2021年1月30日(土)

▼高校時代からの親友が証券会社に就職して話してくれた中で「ベロを切る」という言葉が面白かった。商品を売り込む意味だが、客にあかんべーをしている姿を連想させた。「イナゴ投資家」という言葉もある。特定株を短期間に何度も売買する個人投資家集団。稲に群がり、食べつくして去るイナゴのイメージだ

▼人を人とも思わぬ神経でなければ相場の世界ではやっていけないのだろう。津財務事務所が昨年11月―今年1月の経済情勢について「持ち直しの動きに一服感がみられる」。「一服感」も経済用語。改善傾向にある景気などが一段落したり、相場が横ばい状態になることだ。もとは「一服」すなわち「ひと休み」からきている

▼調査期間は新型コロナウイルス感染の第三波に突入し、「GoToトラベル」停止や不要不急の移動回避が求められた。県内経済、産業界の現実は茶やタバコをのんでやれやれとくつろぐ心理とはほど遠い。持ち直しの一段落というより、何とか持ちこたえた経済がいよいよ急落に向かう前兆とさえ予感させる

▼同時期は県税の差押強化月間(11月、12月)だった。預貯金や自動車など664件を差し押さえ、自動車税で3475万円の滞納分を徴収。自動車20台に「タイヤロック」を取り付けた。差し押さえ、徴収額とも前年同月比3分の1ほど減ったのは「以前からの滞納整理や納税の環境整備によって納付率が向上した」成果という

▼より追い詰められた人が対象だったとも言えよう。公務員の仕事ぶりというのは庶民生活など我関せず、浮世離れしている。