▼伊勢志摩サミット記念館「サミエール」の来館者が開館二カ月で5万人を突破し、洞爺湖サミットの初年度約2万2300人を大きく上回った。「初年度」は何カ月だったか。首都圏から遠く離れたハンディもあろうが、すごいことには違いない
▼サミット前後で賢島を訪れる客の違いは、首都圏からが大幅に増加したことだと、近鉄ホールディングスの吉田昌功社長が言っていた。会場の志摩観光ホテルなどの客室回転率が70%で、改装前のほぼ二倍。「われわれ鉄道業者は、地域が活性化して初めて発展する」。原因がサミットであり、菓子博ということだろう
▼「最近は国内開催以外大騒ぎしなくなったが」と共同通信記者が過去のサミット取材を振り返っていた。今年のサミットがイタリア・シチリア島だったことは記憶に新しかろう。志摩観光ホテルで進行を取り仕切った近鉄役員がノウハウ伝授で派遣されたが、首脳の顔つきが伊勢志摩サミットとは天地の開きがあったそうだ
▼特にドイツのメルケル首相。昨年は、常にオバマ米大統領に寄り添って語り合う安倍晋三首相に代わり残り四カ国首脳を引き連れ、会話の中心にいた。今年は固い表情を崩さなかったのは新顔が四人というだけではない。「まさに6プラス1の雰囲気でした」
▼米国は料理人を連れてくるが、二週間前から護衛官が調理場に陣取って動かない。オバマ大統領は安倍首相の勧めでエビのスープとアワビのステーキを食べたが、直前に必ず護衛官と目を合わせて口に運ぶのだそうだ。シチリアの地で、護衛官の気苦労も倍加したに違いない。