自民、民進両党とも凋落が止まらない。自民は都議選で歴史的大敗、加計問題、稲田朋美防衛相問題などが次々と噴出し、安倍政権の支持率は下落。一方、民進党も深刻な状況。都議選で都民ファーストに自民批判の受け皿を根こそぎ取られ、出番はなし。党存亡の危機に直面する。果たして党浮揚はあるのか―。次期衆院選も見越す中で、県内の両党関係者に危機感が増している。
問題続きの安倍政権に、自民の中堅県議は「支持者からの不満は強まっている」と指摘。「特に選挙などでよく応援してくれていた人ほど、厳しい声が上がっている」と懸念を示し、「安倍首相本人に分かりやすい説明をしてほしい」と注文する。
自民県連の中森博文幹事長は「安倍政権には国民政党、責任政党の自覚をしっかりもってもらい、国民の信頼回復に努めてほしい」と要請。
来月上旬の内閣改造に期待を寄せ、「経済再生、地方創生を引き続き行う布陣にしてほしい」とする。
ただ、党勢以外にもう一つ懸念がある。県内では次期衆院選から区割り変更され、小選挙区が一減して四選挙区になる。自民では、それに伴う候補者調整も最終局面を迎えているが、現職議員の大がかりな〝国替え〟も予想される。そのため、「もともとの支持者が新たな候補者をすんなり受け入れるとは限らない。一定のしこりが残る可能性も」(党関係者)との声も出る。
関係者は「わだかまりがどこまで払拭(ふっしょく)できるか。でなければ県議選や参院選にも影響してくる」と見通す。
党低迷に加え、区割りに伴うダブルピンチを乗り切れのか。自民党の正念場は続く。
一方の民進。都議選の結果に、県内関係者は少なからず衝撃を受けている。
ある党関係者は「いくら自民が大敗したといっても、20議席を超えて都民ファーストに次ぐ第二党。それに比べ、民進はわずか五議席。公明、共産にも及ばない結果だ」とし、「これで野党第一党の国政政党と言えるのか」と厳しく指弾する。
別の党関係者も「都民ファーストの国政進出で、東京で民進の衆院議員が一人もいなくなるのでは」と危惧。
「民進は東京や大阪で衆院議員のいない〝地方党〟になる。そうなれば国政政党としての迫力はなくなる」と懸念を示し、「自民への批判一辺倒ではなく、どういう社会にしていくのか打ち出さないと国民の支持は得られない」とする。
とはいえ、県内では依然民進への支持は根強く、「自民批判の受け皿として民進が十分役割を果たせる」とする声もある。
三谷哲央県連代表代行は「人事刷新の声も出ているが、それよりも安倍政権との対立軸を明確にして選択肢を示すのが一番大事だ」と強調。
「自民は下野した際、すさまじく民主を攻撃した。上品ぶってもだめ。えげつないまでに攻撃すべきだ」と戦闘態勢を強調する。
安倍政権批判の真の受け皿となるのか、空中分解して「地方ファースト」で生き残るのか、民進も正念場が続く。