2021年1月4日(月)

▼三重県のデジタル技術推進局設置の根拠が平成28年閣議決定の第5期科学技術基本計画にあり、と昨日書き、そのソサイエティー5の描く未来社会が情報化社会(ソサイエティー4)草創期を思い起こさせるとしたが、初夢のごときその続編―

▼ソサイエティー5への主導権争いが総務省と経済産業省の間で始まっていると伝えられているが、情報化社会でも互いの前身、郵政省と通産省の縄張り争いがし烈だった。通信の許認可権を握る郵政省は、コンピューターメーカーや計算センター、ソフトウエア業界を傘下に産業振興の名目で通信とコンピューターの融合施策を推進し、権限を侵食してくる通産省を〝ダボハゼ官庁〟と呼んで敵がい心をむき出しにした

▼今回はどうか。遠く三重の地から構想の推進をうかがわせたのは、まず総務省だ。閣議決定に前後して総務省を訪れた同省出身の津市の前葉泰幸市長に対し、マイナンバーカード活用を提案。市の高齢者路線バス優待事業「シルバーエミカ」施策に結びつけた。個人識別にカードの空き領域利用を勧め、「地方自治体向けの地域活性化戦略を熱く語り始めた」(前葉市長)という

▼対して経産省が産業界に顔を向けているのは昔も今も変わらない。具体的には市場開拓であり、権限の侵食である。県のデジタル技術推進局は局長、局員とも民間からの公募という。兼務というから公務員法が適用されるかどうかあいまいで、行政の場の産業界への提供と言えなくもない

▼〝ダボハゼ官庁〟経産省の出身、鈴木英敬知事の面目躍如―というのはあくまでも初夢の話。