2020年9月16日(水)

▼小池百合子東京都知事を批判したことで知られる月刊誌『文藝春秋』9月号のインタビューで、菅義偉官房長官(当時)は安倍晋三首相(同)がアベノマスクを自分で洗っていることを紹介していた。まじめなんですと評したが、そんな私的な行動を官房長官が話すのかと、意図が気になった

▼すでに自民党総裁選出馬の決意を固めていたというのは最近の報道で、当時はつゆほども知らぬ身。あまり知られていないエピソードをあげることで首相との親密さをアピールする狙いかとちょっと思っただけである

▼菅長官の総裁選出について問われた中で、鈴木英敬知事は実行力を評価。同長官が国土交通大臣政務官時代に進めたETC(自動料金収受システム)の普及を例にあげた。「個人的にも存じ上げる方」のアピールでもあるかという思いが頭をよぎった

▼それだけに「やると言ったら絶対やる人。国民の当たり前を大切にする人」の評には不気味さも感じた。総裁選では「自助、共助、公助、そして絆、規制改革」を強調している。助けを求めている人にまず家族、次に地域で、国のセーフティーネットの出番は最後の最後だと改めて突き放しているようでもある

▼外交も経済も安倍政権継承で、独自色が際立ったのが「縦割り行政打破」。安倍前首相の岩盤規制砕きが行政組織へ矛先が変わるのか。官邸がますます肥大化し、官僚のそんたくが横行する国になるのかもしれない

▼第二波のコロナ禍を「圧倒的に東京問題」だと先には小池都知事非難の材料に。総裁選では「まさに国難」。〝けんか師〟の面目躍如だ。