▼沖縄県以外では初めての特別警報発令もあるとされる大型で強い台風10号が接近しているが、国土交通省が洪水に備えてダムの事前放流を実施した中で、和歌山県も含まれていた
▼進路予想では、県と同様、進路を取り巻く暴風圏内からも遠く離れている。県では災害対策本部も設けていないが、気象庁は「台風から離れた関東甲信でも局地的に滝のような非常に激しい雨が降り、大雨に警戒が必要」とアナウンスしている。備えは万全か
▼気になったのは、今年の「防災の日」の1日に県が実施した図上訓練の結果。昨年は伊勢湾台風60年に当たるとして風化させてはならないと「スーパー伊勢湾台風」を想定。市町共同で実施した。コロナ禍の今年がリモートの図上訓練になったのはやむを得ないが、想定は「南海トラフ地震」
▼関東大震災にちなんで設定された防災の日とはいえ、これまでは台風シーズンに備えた訓練の色彩が強かった。熊本県の線上降雨帯被害の記憶も新しく、大丈夫か気になってはいた
▼図上訓練がまたお粗末だったようで、三重大大学院工学研究科の川口淳准教授が「分散配置で道具を使い慣れていないためパワーダウンしたところがあった。練度を上げないと今までのレベルを保てない」
▼訓練も、各部局の執務室や講堂に分かれる分散形式。コロナ禍で県庁講堂に集結できないためというから「コロナ後の新しい生活様式」とほど遠い一時しのぎ。訓練のための訓練と言えなくはない。一昨年は台風19号から5日後の集中豪雨が無警戒で大きな被害を出した。教訓は風化させてはならない。