2020年8月10日(月)

▼このぐらいはあるだろうという推定と、やっぱりそのぐらいあったことがはっきりするのとでは、受け止め方に違いがある。組合長が恐喝未遂罪などで逮捕、起訴された桑員河川漁協に、桑名市が約5800万円支出していたことへの正直な感想だ。これまでの総額は平成22年度からで、今度は昭和58年度からだから当然といえば当然だが、一気に10倍に跳ね上がった

▼大半を支出していた市下水道課は「支出の詳細な経緯は分からなかった」。別に員弁川の河川清掃に対する補助金を出していた市長公室も支出の経緯は分かっていないとしながら「組合員が清掃に参加しているので支出は問題ない」。経緯は分からなくても支出は正当ということだ

▼県や市職員が支出の詳細な記録を残すのは、ほとんど病気に例えられるほどだ。過去の調査をしたがらないのは県教委の越境入学や障害者雇用水増し問題でも分かるが、調査すればだいたいが明らかになるのもまた確か。それが分からないのは、何らかの理由で記録を残されていないことがほとんどだ

▼県の〝巨額横領事件〟であるカラ出張問題がそうだった。全容を明らかにするには職員の責任を問わないことを条件に証言を求めるしかなかった。アスリートを大量に職員に採用して天皇杯を獲得した昭和50年の三重国体も、その記録はないという。似たことは枚挙にいとまない

▼員弁川河川清掃の主催が県桑名建設事務所で、市は漁協とともに共催団体。その市が漁協に参加を理由に補助金を出す。県中心の〝できレース〟に見えなくもない

▼行政の闇である。