▼施設が閉鎖中の津市近郊の運動公園で日中、野球場の正面を動物が駆けていった。ネコにしては大きいし、野犬がいるはずもなし。目をこらすとサルだった
▼サルの生息は知っていたが、めったに見ることはなかった。野球場正面は初めて。人影が途絶えたことと無関係ではあるまい。わずか二週間の施設閉鎖で、野生動物との距離がぐっと縮まったことを実感した
▼逆もまたありか。豚コレラ(CSF)感染の野生イノシシの捕獲が、2月20日の六頭を最後に途絶えた。人間が自身の新型コロナウイルス感染拡大防止に躍起でわれわれどころではあるまいと、イノシシも気を遣って移動自粛をしたのかもしれない
▼志摩市の高齢者施設へ通所する男性への感染が分かった4月半ば、同じような施設を利用する家族の中でちょっとしたパニック状態になった。これがきっかけで通所を断られるようになったら、あるいは入所者が自宅待機を指示されたらどうしようか、の心配でである
▼リハビリの延期はじめ医療・福祉施設での利用後退、それに伴う障害者の甚大な影響は全国的にはよく聞くが、県内ではその後、特に話題になっていない。関係者の頑張りで不都合なことなどなかったか。一般対策が急務で障害者どころではなかったか
▼県の緊急綜合対策の中には野生動物対策はもちろん、障害者ら社会的弱者への言及はない。「新しい生活様式」の実践として買い物、娯楽・スポーツの具体例を国の資料で提示しているが、介護などの様式はない。普段から手厚く措置している。改めて言及することはないということか。