地域の福祉課題解決に向け鈴鹿市社会福祉協議会(亀井秀樹会長)が、赤い羽根共同募金の仕組みを活用して取り組む「鈴鹿おもいやりプロジェクト」が今年度、3年目を迎えた。担当の企画総務課総務管理グループ横井文香さん(26)は「参画企業も増え、少しずつ浸透している実感はある。地域の人に福祉をもっと身近に捉えてもらうきっかけにつなげたい」と意気込みを語る。
同プロジェクトは、県共同募金会が県内全域を対象に実施している「三重の赤い羽根募金百貨店プロジェクト」の鈴鹿市版。消費者が対象期間に参画企業で対象商品を購入したり、対象サービスを利用すると、売り上げの一部が募金として寄付される仕組み。対象期間は同共同募金の実施期間に合わせた10―12月を中心に、企業によって違う。
集まった募金は、市では「各地域での拠点づくりのための助成金への財源」に充て、認知症サポートのボランティア養成や見守り活動、市内26カ所の子育てサロン団体の支援などに活用している。
購入者は間接的に地域の福祉貢献に携わり、企業は社会貢献へのPRを図り、同協議会は財源の強化により、地域福祉活動の推進につなげることができる。
横井さんは「地域のために何かしたいけれど、どうしたらいいか分からない人も多く、商品を購入することで間接的に、地域に役立つ活動に参加してもらうことができる」と話す。
鈴鹿市は当初、趣旨に賛同した13社でスタート。昨年1社減少したものの、6社増えて、現在は18社が参画する。
各企業は飲食店を中心に、小売業や造園業、サービス業など多岐にわたり、目印として店頭に同プロジェクトののぼりを立てたり、ステッカーを貼って買い物客らにPRしている。
対象商品やサービスの種類、募金の金額割合はそれぞれの企業で決めているという。平成30年度の市での同共同募金実績額は総額約3150万円。そのうち、同プロジェクト分は計21万3835円。
令和元年度の実績はまだ集計段階で確定していないが、増加しているのは間違いないという。横井さんは「目標金額は特に設けていない。賛同企業が増えるのはうれしいが、募金額の実績を上げるだけが目的ではなく、市民への周知の意味も大きい。(企業も購入者も)無理のない範囲で参加してもらうのが一番」と、地道に活動を継続することの重要性を説く。
1年目から参画する洋菓子店ミルク=同市寺家7丁目=の対象商品はソフトクリームで、対象期間は6―11月。中野強社長(50)は「何か社会に役立てることができればとの思いで参加を決めた。地域全体で支えていくいい取り組みだと思う」と話す。
昨年9月から参画する同市西条の造園業伊藤植正園の対象サービスは「民間の庭や緑地の手入れ」。対象期間は通年。伊藤正康社長(45)は「企業がビジネスを通じて社会貢献できる身近な方法は無いかと模索していた。まだまだ手探り状態だが、市民への周知法など一緒に作り上げていきたい」と話す。
新年度が始まり、横井さんは「今後は購入意欲につながるような手作りポップでのPR、若い人たちへの周知方法としてSNS(会員制交流サイト)の活用を検討している」と話していた。