-聖火と走る- 大震災復興を祈って 高校時代思い出の地で 瀬古利彦さん

【瀬古利彦さん】

東京五輪の聖火が20日、ギリシャから日本に到着した。県内では4月8、9両日に聖火リレーが実施され、12市町を巡る。県内を走るランナー184人のうち14人の聖火に懸ける思いを連載で紹介する。

現役時代は聖火をあまり気にしたことがありませんでした。初めて意識したのは30代の頃です。前回の東京五輪の聖火リレーで最終ランナーを務めた坂井義則さんにトーチを見せてもらい、それから身近なものになりました。

五輪選手でも陸上選手以外は陸上競技場に行かないので、ほとんど聖火を見たことがないのではないでしょうか。私は北京五輪の開会式にJOCの役員として参加し、聖火台にともる聖火を見て、坂井さんとつながっていると感じました。

20年ほど前に長野五輪で聖火ランナーを務めた際は、アテネから来た聖火を見て感激しました。同時に長野五輪は冬季だったので、夏季五輪でもやりたいなと思っていました。東京五輪でようやくそのときが来て光栄です。

私は三重県で陸上選手として育ててもらったので地元を走れるのはうれしいです。高校時代の練習場所だった四日市市を走るのは縁を感じます。自分がリレーでつないだ聖火が最後に聖火台に届くのを楽しみに思っています。

東日本大震災の復興と五輪の成功を祈って走ります。被災地の支援に数年間携わりました。聖火リレーが福島から始まるのはうれしいです。他のランナーにも、ご覧になる方にも、祈ってほしいです。みんなが思うとその思いは通じるから。