▼中嶋年規県議会議長が年頭記者会見の抱負で「知事に物を言う県議会として心を一つにしたい」。議会と言えば県の最高議決機関であり、県執行部への監視機関というのが本来の二大責務。二大責務の一つに何事か、思うことがあるということだろう▼「議会の権威というか権限の強さがこれほどとは思わなかった」と言ったのは、知事就任間もなくの北川正恭氏である。県議三期を務めながら「まったく分からなかった」。本会議の質問は当時調べた範囲では一度だけ。中身も首をかしげる内容で、そう言ったら「あまり触れないように」▼執行部側となり、思いがけず議会の力をひしひしと感じる日々という。二元代表制が話題になるのは、その北川改革に触発されて議会改革が進んだ結果で、議会基本条例、通年議会などで、議会先進県と言われるようになった▼議会の権威も大きく飛躍したと考えるのは当然だが、議会代表を体験した中嶋議長にとって、最も基本の知事との関係で退行。いわば張り子の虎と感じることが多々あったのかも知れない▼具体的綱引きは知る由もないが、議会改革以前を取材した一人として平成二十七年、残土条例制定を求める請願を議会が採択しながら、当局の「直ちに新たな規制が必要な状況ではない」の回答に押し切られたというのは驚きだった▼鈴木英敬知事の三年後の視察で制定へ一転し、幹部らが口をそろえて必要性を強調しても、議会からは知事の英断を評価する声があがったものの、議会の採択を放置したことへの苦言はない。権威は弱まりつつある気がしたものである。