信号機のない横断歩道での車の一時停止率が、三重県は3・4%で全国最下位だったことがJAFの調査で分かった。昨年は1・4%でワースト3位。一方、昨年ワースト2位だった広島県は今年、全国平均を超える改善を見せた。三重県警幹部は「(横断歩道などで歩行者を優先する)一時停止はマナーではなく、法律で決められたルール」と指摘する。
JAFは平成28年から毎年、全国の都道府県で調査を実施。昨年から都道府県別の結果を公表している。場所は非公表だが、毎年同じ場所で調査しており、各都道府県ごとに2カ所選定している。今年は8月15―29日、各都道府県ごとに実施し、全国平均は対前年比8・5%増の17・1%だった。
一時停止率の全国平均が倍増する中、微増にとどまり、順位を下げた三重県。県警は6月から毎月11日を「横断歩道SOSの日」と定め、事故が多い横断歩道で啓発活動や取り締まりを強化するなど対策を講じてきたが、2年連続で不名誉な結果となり、県民の規範意識の低さが浮き彫りとなった。
一方、昨年0・9%で最下位だった栃木県は今年、13・2%まで改善。昨年1%でワースト2位だった広島県は、今年17・5%で全国平均を超えた。昨年1・4%で三重県と同率3位だった和歌山県は今年8・9%。いずれの県も三重県より増加率が高かった。
JAFが昨年から都道府県別の結果を公表したことで、全国の警察は、取り締まりや啓発活動に力を入れている。広島県警交通企画課の新庄一司次席は「平均値を超えたと言っても依然として8割以上が止まっていない」とした上で「取り組みに大きな差はないと思う」と語る。
同県警では、三重県警と同じように死亡事故や交通量が多い横断歩道をモデルケースに指定し、取り締まりや街頭指導を強化した。今年の横断歩行者妨害の取り締まり件数は、昨年の倍以上の1511件。新庄次席は「昨年のワースト2位という結果を県民に交通ルールを守ってもらう意識付けに役立てたい」と話す。
一方、教育の成果を上げる声もある。今年68・6%(対前年比10%増)で2年連続首位となった長野県。県警交通企画課によると、県内の小中学校の半数以上で、横断歩道で一時停止した運転手に児童生徒が礼を言うよう学校教育の中で指導されているという。県警の担当者は「礼を言われれば運転手も悪い気はしない。そういうことの積み重ねが首位につながったのではないか」と述べた。
道交法は、横断歩道では歩行者や自転車が優先されることを定めている。三重県警の三國悦夫交通企画次長は「最下位という結果を重く受け止め、対策に取り組むが、運転手の方々も安全運転に努めてほしい」と語った。