▼アコヤガイ大量死の現地を視察した鈴木英敬知事が、専門と兼務の職員各1人ずつしかいない県水産研究所の体制強化を真珠漁協の代表者らから求められて「スピード感を持って結論を出したい」
▼指摘されているのは、県を代表する地場産業などと言われる真珠の基礎を支えるアコヤガイ研究の貧弱さだが、知事が答えているのは、これからどうするかの検討を「スピード感を持って」やるということか。かみ合わぬ気がしなくもない
▼緊急事態に対する組織の充実としては豚コレラ対策チームの設置がある。畜産課、家畜防疫対策監の13人にフードイノベーション課や農山漁村づくり課、農林水産総務課、桑名農政事務所から10人を兼務で加え、企画調整、豚コレラ対策、野生いのししの3グループを編成。感染拡大防止、経営支援、風評被害の対策を担当することにした
▼「スピード感を持って丁寧に、対策をリードしてほしい」と知事はチームを激励した。「スピード感」は鈴木県政の代名詞だが、相手が自然界の研究となると事情は違ってこよう。組織はスピード感をもって編成できても、結果がすぐ出るというものではない
▼現地での説明を聞いて、鈴木知事は「今回が今までにない事例だと改めて実感できた」と述べ、原因究明に全力を尽くす考えを示した。10日の地元での「すごいやんかトーク」で週末に「漁業条件や飼育環境への影響」を解明し、10月末に原因究明すると語った
▼見方に変わりないか。海水温上昇など原因もあげたが、積年の研究体制のツケを「スピード感」で取り戻せるものかどうか。