2019年8月29日(木)

▼漫画『サザエさん』で、カツオが廊下に立たされるシーンは体罰かどうか。「授業中、怠けたり、騒いだからといって教室外に出すことは許されない」というのは法務省の前身、法務府が昭和24年発表した「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」。「教室内に立たせることは体罰にならない限り懲戒権内として認めてよい」と続く

▼廊下に立たせることは戦後間もなくから禁止だったことになる。体罰というより「教育を受ける権利」を保障した憲法に違反するというのが趣旨だ。学校教育法は「学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない」。が、境界はあいまい

▼平成25年の文科省通達でも「児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え」。認められる懲戒として学習課題や清掃活動、学校当番の割り当てをあげる。身体から精神的苦痛も加わった最近ではどうか

▼県立高教諭が授業で誤答した複数の生徒を机や椅子の上に立たせ、70回の腕立て伏せを課したりして訓告処分を受けた。「生徒に苦痛を与える行為で体罰に当たると判断した」と県教委。教室内に立たせることと、机や椅子の上に立たせることは違うということか。70回は行き過ぎだが、回ならどうか。グラウンド一周なら―

▼体を動かしながらの方が、記憶力が高まるという研究もある。県教委の生徒用調査票は「教員から体罰(殴られる、蹴られる、長時間正座や直立等をさせられる)を受けたことがあるか」と問う。体罰とは―。