<まる見えリポート>継続進化VS直球勝負 松阪市長選と争点を展望

任期満了(10月3日)に伴う9月1日告示、同8日投開票の松阪市長選は新人の塾経営、海住さつき氏(54)=西町=と、再選を目指す現職の竹上真人氏(56)=石津町=(50音順)の無所属2人の一騎打ちの見込み。争点と選挙戦を展望する。

海住氏はいち早く、昨年4月16日に立候補を表明。同市初の女性市長を目指す。夫は海住恒幸市議(60)。キャッチフレーズは「直球勝負!」。伊賀市出身。

争点に「竹上市政の目玉」の「『豪商のまち』中心市街地土地利用計画を抜本的見直し!」を打ち出した。「検討会議から市民や議員、新聞記者などを完全に排除、会議資料は黒塗りの密室・非公開の中から生まれた計画」「計画を止め、市民参加で、何が本当に必要な計画であるか、抜本的な再検討を行いましょう」と呼び掛ける。

竹上氏は今年2月19日の市議会で、人口減に歯止めをかけようと同市以南15市町長に呼び掛けて結成した南三重地域就労対策協議会などについて「平成31年度のみで収まり切れない事業展開が必要」と述べ、市長選への再挑戦を明らかにした。「私の胸には、生まれ育った松阪市に対する情熱の真っ赤なバラが燃えるように咲いている」とも吐露。

初当選時の公約「子育て一番宣言!」は「ほぼ全て達成または着手した」と話し、再選に向けたスローガンは「継続プラス進化!」とした。

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松阪商人の屋敷・旧長谷川邸の市への寄贈を機に「豪商のまち松阪」をテーマにしたまちづくりが始まり、山中光茂前市長時代に観光交流拠点本・別館の建設が持ち上がったが、竹上市長は「一度立ち止まって総合的なまちづくりを考える」と仕切り直しを指示。20年後を見据えた中心市街地土地利用計画を平成29年5月に作成した。

観光交流拠点は本館だけに縮小し今春開館。他に三井家跡に建つ市産業振興センターは「三井家と伝統産業を考慮した施設」に変え、松阪城跡の本居宣長旧宅を元の場所へ戻し、城跡内の本居宣長記念館も市役所前へ移転新築する。

老朽化と駐車場不足の松阪公民館はショッピングセンター「マーム」へ昨春引っ越した。再開発が頓挫した松阪駅西地区はホテルや商業施設を誘致した複合施設を目指す。

ただ、有識者の検討委員会の答申に沿って同計画を策定したが、民意の反映は素案に対する説明会と意見募集にとどまり、市議会の議決案件でもなかった。長期にわたる大規模な未来図なので争点に取り上げる意義がある。海住氏は「駅西ビルは必要か?」などと訴える。

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平成27年の市長選(投票率52%)は山中氏が任期半ばで辞職して実施。三つどもえで元県議の竹上氏が2万5935票を獲得し、山中氏後継の元市職員の梅本陽子氏と森本哲生元衆院議員を下して初当選を果たしたが、次点とは1506票の小差だった。

竹上氏の得票は3回戦った県議選のうち最後で最高得票の23年(同53%)の2万6100票と同水準にとどまった。

25年の市長選(同54%)は山中、竹上両氏の一騎打ち。山中氏が4万650票で再選し、初挑戦の竹上氏は3万2727票で落選した。

梅本、森本両氏合計票は4万3792票で、山中氏の再選票を上回る。竹上氏の初当選は三つどもえの構図に助けられた側面があるが、今回は一騎打ちの公算が大きく、票の動きが注目される。