2019年7月17日(水)

▼原因物質(抗原)に再び触れることで引き起こされる激烈なアレルギー反応、アナフィラキシーショックは今やサスペンスドラマの手口でもおなじみだが、食物アレルギー対応食材など紹介する試食展示会が県内で初めて開かれたという

▼卵不使用のマヨネーズやアレルゲン27品目不使用のカレーの素など35品が展示。アレルゲンすなわち原因物質が増大する中で多いか少ないかは分からぬが、来場者の感想に問題の深刻さと、救われる喜びを見る

▼アナフィラキシーはギリシャ語の「反抗」と「防御」が語源。本来外界から侵入する異物を排除する免疫機能が逆に自身を攻撃する反応だ。ハチに刺されてショック死する話は2世紀の古代ユダヤ教典でも知られ、ぜんそくに長年人類は悩まされてきたが、療法は今も確立していない

▼強力な攻撃力を持つ免疫機能を抑制する遺伝子がうまく継承されないのが原因という。きっかけは食物、花粉、金属や新建材など無限。肥満細胞などと反応してその中の毒素をばらまく。呼吸を止めてでも吸い込むことを拒否しようとするのがぜんそくだ

▼かつて児童に多かった蓄膿症が猛威をふるっていたころは免疫系はそちらとの戦いに忙しく、花粉に反応している余裕がなかった。衛生改善が免疫の攻撃対象を無制限にし、反応は個別に異なる現象を招いた

▼生命誕生以来生物と微生物は戦い、共存してきた。そのバランスが崩れ、多様化に体が追いつけなくなってさまざまな新たな問題が引き起こされる。人類の発展史そのものであり、共存ということを少し考えさせられる。