2019年7月7日(日)

▼北海道大学の総長を決める選考会議が、職員からのパワハラの訴えを調査した結果、「総長にふさわしくない」として文部科学相に解任を申し出るという

▼国立大学法人法で、国立大学学長は学外有識者も含めた選考会議が選考するとされている。昨年11月にパワハラ調査委員会を設置して総長、職員の双方から事情聴取した上での結論というが、これまでの各分野の第三者委員会に比べ、はるかに厳格だ

▼「女子学生2人にセクハラで特任教授出勤停止・平成29年12月」「美術授業でセクハラの准教授、三度目の処分でついに解雇・19年8月」「大学院女性をホテルに誘う教授が減給10分の1(6カ月)・15年12月」―以上は、三重大のセクハラ事件とその処分についての報道。女子学生に提訴され、学生勝訴の件もある。セクハラではないとはいえ、北大の処分がいかに厳しいか分かる

▼奇妙なのは、パワハラの内容が一切公表されていないこと。「関係者のプライバシーの問題もある」が大学側の理由だが、どういうたぐいのパワハラかは説明してもいいのではないか。調査委員会委員名も公開せず、選考会議のメンバーも大学のホームページに見当たらない

▼解雇されれば国立大初。調査委設置でも大問題だが、地元有力紙の一報は、一段のベタ記事だった。解任の記事が各紙に踊る中で当の総長は「大学からは何の連絡もない」。抗弁の機会もなく進むのか

▼処分が甘いの指摘に三重大も本人らのプライバシーを理由にしてきた。北大を見習え、というのはもう少し先を見てからでなければならない。