2019年6月23日(日)

▼質問「外部からの連絡をきっかけに発覚した。職員が自ら報告しにくい状況があるのでは」。答弁「職員が業務を一人で抱え込んでいた」―質疑応答がかみ合っているのかどうか

▼生活保護受給者が医療機関に通院したタクシー代を請求したが、北勢福祉事務所課長補佐級が未処理にしていた問題の県議会総務地域連携常任委員会の審議である。別の受給者の入院中のおむつ代15万円余は私費で医療機関に振り込んでいたというから、事務処理ミスというより職務怠慢だが、当人はひた隠しにしようと懸命になっていたことはよく分かる

▼「報告しにくい状況」かどうかは知らぬが「おくびにも出したくない心境」だったに違いない。そうなったのは「業務を一人で抱え込んでいた」からという。「業務を一人で抱え込まずに課や係で共有するように」という指示が出たのは四半世紀前になる

▼そのころ有能な職員の大半は、自身のノウハウを抱え込んでいた。独自に情報収集し、勉強・研さんし、ここぞという時に小出しにする。手の内は見せない。個人の存在価値、依存度が高まり、「業務を一人で抱え込むな」のたびたびの指令は、机の引き出しの奥に秘蔵された個人用ファイルをはき出させるためだった

▼「電子県庁」が提唱された時は情報の共有化が徹底され「これで個人用ファイルはほぼ一掃」というのが幹部で「どっこい、これだけは」というのが一部職員だった。いまは定型の作業が満足にできない職員のために「一人で抱え込まないよう呼び掛けるメッセージを職員らに送った」という。県庁も変わった。