春季東海地区高校野球県大会が13日に開幕し、県内にも球春が到来した。7つの地区予選を勝ち抜くなどした25校が出場し、各地区1位校はシードされて14日の2回戦から登場する。このうち桑員地区1位校の津田学園(桑名市)は前佑囲斗、四日市地区1位校の菰野(三重郡菰野町)は岡林勇希の本格派右腕を擁する。夏の甲子園出場校を占う各校の戦いぶりとともに、今秋のドラフト候補に名を連ねる2人の3年生投手に注目だ。
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この春一躍知名度を上げたのが前投手だ。17年ぶり3度目の春の甲子園出場となった3月の選抜高校野球大会は1回戦で龍谷大平安(京都)に敗れたが、延長十一回を2失点完投。秋の近畿大会覇者を延長十回まで散発3安打に抑える好投を見せた。
182センチ、87キロの堂々とした体躯(たいく)。キレのある速球を武器に昨年秋から主戦を務める。直球の速度が最速148センチに達した昨年秋は73回2/3で82奪三振を記録。夏に韓国で開かれる野球のU18ワールドカップ(W杯)高校日本代表一次候補の投手20人の一人に選ばれ、今月5日から7日まで奈良県などで行われた研修合宿に参加した。
合宿では同世代のトップ選手から刺激を受けるとともに、代表としての心構えや国際大会での留意点などについて講義を受けた。松坂大輔ら多くのプロ野球選手を輩出した横浜高校前監督の渡辺元智氏からは一日一日目標を持って取り組む大切さを学んだという。
甲子園のマウンドを経験して新たな決意が生まれた。「プロの選手になるという目標に向かって球質は落とさず、球速を150キロまで上げる」。2季連続の甲子園出場への思いも一層強くなった。「もう一度U18に選ばれたい。甲子園で合宿メンバーらと集まることができれば」。
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目下県内最速を誇るのが岡林投手だ。177センチ、73キロの体からノーワインドからグラブを高く掲げて重心を下げる独特のフォームで昨年秋150キロをマークした。50メートル5秒8の俊足。打っては4番と走攻守三拍子そろった選手だ。
昨年秋の県大会で優勝して津田学園などと東海大会に出場したが、準々決勝で中京大中京(愛知)に3―4で敗れセンバツ出場を逃した。立ち上がりの制球不足からピンチを招き、終盤は疲労から制球が甘くなった。冬場はボールの質と制球力を上げる練習に取り組んだ。肩と肘の負担を少なくするフォームも修得中だ。
エースナンバーを背負うのは昨年秋以降だが投手陣豊富な同校で、旧チームから一学年上の田中法彦選手(現広島東洋カープ)と投手二枚看板として活躍。昨年6月にはU18代表一次候補に2年生で名を連ねた。早くから同世代をけん引してきただけに「同年代には負けたくない」。ライバルたちが出場する春の県大会に向け「優勝し、東海大会に行くことだけ考える」と闘志を燃やしている。