<まる見えリポート>松阪に2つの新施設 新名神全通、集客狙う

【4月2日にオープンする松阪市総合運動公園スケートパーク=同市山下町で】

三重県松阪市に来月、「豪商のまち松阪観光交流センター」(魚町)と「市総合運動公園スケートパーク」(山下町)の両施設が誕生する。同センターは市街地を散策する発着点で、今月の新名神高速道路の県内区間全通を追い風に集客を狙う。同パークは来年の東京五輪で正式競技になるスケートボードの練習・競技場で、全国最大規模の施設を生かした大会や合宿誘致を目指す。(松阪紀勢総局長・奥山隆也)

同センターは4月5日に開館する。松阪商人を代表する三井家や長谷川家、小津家の各豪商が軒を連ねる中心に位置。合併特例債を活用して約3億4千万円かけた。同市観光協会が指定管理者として運営する。

切り妻平入りの和風建築の鉄骨造り2階建て。延べ床面積434平方メートル。1階はまちの見どころを紹介する観光案内と土産販売。2階は参宮街道のにぎわいや松阪商人、松阪の偉人をテーマにした展示と映像。特別展示や催しの会場に使える。

6年前に松阪商人の屋敷・旧長谷川邸が市に寄贈されたのをきっかけに、「豪商のまち松阪」をキャッチフレーズにした観光地づくりが始まった。前市長時代に観光交流拠点施設の整備計画が持ち上がり、本館と別館の建設計画に発展したが、新しく就任した竹上真人市長は平成28年、経費負担や機能面から見直し、本館だけに変えた。別館予定地はバス専用駐車場にした。

再検討は同施設だけでなく市街地全域を対象として29年、「『豪商のまち松阪』中心市街地土地利用計画」をまとめた。計画では同センタ―隣の三井家跡に建つ市産業振興センター(本町)は「三井家と伝統産業を考慮した施設」へおおむね10年をめどに変えると設定し、一層「豪商のまち」っぽくなる。

同市の観光レクリエーション入込客数は14年前の5市町合併以降、年間230万人から270万人前後へ緩やかに増加してきた。30年度に策定した「市観光振興ビジョン」は基本コンセプトに「点在する観光要素を〝つなぎ〟魅惑的なエピソードやストーリーを整理・創造・発信する!」を掲げ、31年度の目標入込客数を約30万人増の300万人としている。

竹上市長は新名神の県内区間全通に触れ、「これまで渋滞で松阪へ来れないと聞いていた。新たな事業展開をする中、歓迎したい。観光客が確実に増える」と期待している。

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同パークは4月2日にオープンする。面積4730平方メートルと全国最大規模。約2億7千万円かけた。県内初の公共スケートパークとなる。

整備の発端は地元愛好者が15年前、市議会に出した建設を求める請願。「市内には滑れる場所もなく、公園、歩道、駐車場で滑っている。歩行者への危険性、騒音、ごみの問題が生じる。早急に練習できる場所を建設していただきたい」と訴え、採択された。

初心者からプロボーダーまで楽しめるように3区画ある。ローカルエリアは初心者教室やイベントを想定して平面を広く確保。縁石に乗り上げて滑るスラッピーカーブやロングレール、ピラミッドなどのコンクリート構築物があり、愛好者の意見を取り入れた特徴ある構成となっている。「市章セクション」もある。

競技エリアは国際大会を実施できるセクション構成とサイズ、配置をデザイン。プールエリアは曲面を組み合わせたくぼ地になっている。

照明を設け、使用時間は午前8時半から午後10時まで。料金は一般300円、中高生百円、小学生以下無料。

ジャンプ台を使った空中技などを競うスケボーは東京五輪で初めて正式種目に追加され、注目度や競技人口の増大につながりそう。

設計を監修した日本スケートボード協会の横山純専務理事は「スケボーに触れたことのない人に楽しさを伝えたい。週末はかなりの来場者が見込めると思う。ここから五輪選手が生まれるとうれしい」と話し、中部地区大会の開催を約束している。同パークへの大規模な大会やキャンプの誘致が期待される。