<検証・鈴木知事の2期目・上>参院選の応援 特定候補支持、野党批判も強烈

【参院選の応援演説に臨む鈴木知事=四日市市安島1丁目の四日市市民講演で(平成28年6月)】

安倍政権時に官邸スタッフを務めた経歴などから、たびたび安倍晋三首相との〝近さ〟が取り沙汰される鈴木英敬三重県知事。初当選を果たした平成23年の知事選では安倍首相自ら県入して応援に立った。

一方、県政運営では「バランスに配慮している」(県議)と各会派から評価を受けてきた。初当選時は「ノーサイド」と公言。二期目は「県民党」を掲げ、旧民進党勢力など幅広い支持を得て再選した。

しかし、平成28年7月の参院選では、その姿勢が激変した。初当選以降、選挙で特定候補の支持などしたことがなかった鈴木知事が、参院選三重選挙区で出馬した自民党候補の支援を表明したのだ。

参院選の街頭演説では「政治家鈴木英敬」を、むき出しにした。大声を上げ、拳を突き上げて「不可能なんて絶対にない」と強調。自民党県議は「候補者と見間違えるほどの力強さだった」と振り返る。

野党批判も強烈だった。「サミット反対、リニア反対、紀伊半島大水害でお世話になった自衛隊を違憲と言う共産党と手を組んでしまった」と、三重選挙区で対抗馬を擁立した民進党側を批判したのだ。

これに対し、県議会の最大会派「新政みえ」は大反発。「県民が失望した」とする抗議書を鈴木知事に提出し、記者会見では問責決議案の提出も示唆した。県議会との良好な関係は崩壊するかに見えた。

鈴木知事は安倍首相の要請で支援を決めたとの見方が強い。自民党県議は「鈴木知事は伊勢神宮を参拝した安倍総理に『選挙も頑張ってもらわないと』と言われた。総理に言われれば断れない」と話す。

あれから約2年半。その後の国政選挙で鈴木知事が特定候補の支援を打ち出すことはなく、当時のことを話題に挙げる県議らもいなくなった。新政みえは今月、3選を目指す鈴木知事への推薦を決めた。

関係者によると、新政みえの三谷哲央代表らは参院選の後に鈴木知事と面会し、当時の対応を追及。鈴木知事から「今後は特定候補を応援しない」という〝確約〟を得たことを理由に矛を収めたそうだ。

「安倍一強」とされる国政とは対照的に、県議会は民進党系勢力が多数を占める。政権との近さを生かしつつ、県議会と良好な関係をいかに維持するか。鈴木知事の2期目は、その難しさが垣間見えた。

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任期満了(4月20日)に伴う知事選(3月21日告示、4月7日投開票)まで、あと3日。鈴木知事の2期目を振り返る。