<みえの平成史>熊野古道世界遺産登録 復元や補修に尽力

【熊野古道と書かれたちょうちんを持って世界遺産登録の決定を喜ぶ市民ら=平成16年7月、熊野市で(県紀南地域活性化局提供)】

平成16年7月7日、吉野・大峰(奈良県)、熊野三山(和歌山県)、高野山の三つの霊場とそれらを結ぶ参詣道で構成する「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産として登録された。登録に至るまでには、古道の復元や補修、整備、測量、PRに務めた関係者の尽力があった。

平成6年5月、三重県と東紀州地域の職員でつくる「東紀州活性化協議会」が発足。観光資源の再発見や、地元の人材育成を始めた。住民や地元団体らは草木の伐採や石畳の清掃、古道調査や石畳の掘り起こし、復元、補修などに取り組んだ。13年には三重、和歌山、奈良の3県で「世界遺産登録推進3県協議会」が設立された。

政府は13年4月に「紀伊山地の霊場と参詣道」を世界遺産暫定リストに記載。14年12月に熊野参詣道は国の史跡に指定された。15年10月のイコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査を経て、16年7月、中国蘇州市で開かれた第28回世界遺産委員会で古道を世界遺産として登録することを満場一致で決定した。

熊野古道は今年7月、世界遺産登録15周年を迎える。昨年12月には「熊野古道世界遺産登録15周年事業実行委員会」を立ち上げた。記念イベントとしてセレモニーや講演会などを各地で予定している。

東紀州地域振興公社によると、熊野古道来訪者は25年以降、30万人以上の高水準が続き、登録10周年には40万人を超えた。15周年も来訪者の増加が期待される。