2019年1月21日(月)

▼紀北町の建設残土の搬入現場を視察したあとの町長との一対一対談で、鈴木英敬知事は「条例制定の必要性を再検討する」

▼百聞は一見にしかず。積み上げられた残土の高さを実際に見て、住民の不安に理解を示したようで、昨年9月県議会まで、県環境生活部長らが「直ちに条例制定による新たな規制が必要な状況ではない」と繰り返し答弁してきた認識とは明かな違いを見せた

▼建設残土はリサイクル資源であること、崩落には森林法や砂防法で、有害物質などは土壌汚染対策法や廃棄物処理法で、搬入には港湾を管理する県建設事務所で、それぞれ安全性を確認しているというのが環境生活部の条例制定否定の論理

▼水路に流出したことがあったり、廃棄物が含まれていたり、町内八カ所に出現した土砂のすべての調査に行き届かなかったり、何より高い巨大土砂を毎日見る住民の不安などに思いを巡らしたりはしないのだ

▼越境入学や障害者雇用率水増し問題で、鈴木知事は調査を打ち切って幕引きを目指す県教委に異を唱え、調査の徹底を指示した。「我々の時は知事が介入することはなかったが、今は違う。やりにくいだろうな」と教育長経験者が語っていた。環境生活部も似た思いではないか

▼歴代知事の中で田川亮三氏の答弁は職員の絶大な信頼があった。「言葉は多彩でも、答弁資料から逸脱することはなかった。安心して聞いていられた」。職員の意識改革を公約にした北川正恭氏に職員が翻弄された。野呂昭彦氏は「扱いやすい」(幹部)

▼鈴木知事が安心して聞いていられないようなのはいいことだ。