2018年12月7日(金)

▼児童相談所が保護者への通告なしで子どもを一時保護することについて、県議会で服部富男議員が「おかしい」と問題視。田中功子ども・福祉部長の「保護者の意図とは関係なく早期に保護しなければならない場合がある」とする答弁とかみ合わなかった

▼身心障者が心中事件などから命を守るため「親を蹴飛ばさなければならない」と声明を出している。親の立場に立つか、子ども側か―で見方は180度変わる。東京・目黒の船戸結愛ちゃん=当時(5)=虐待死事件は「もうおねがいゆるしてください」の悲痛なメモとともに国民の涙を誘い、強制的に親から引き離せなかったかという児相批判が強まった

▼県で平成24年、桑名、四日市両市で相次いだ虐待死事件でも、検証委員会は児童相談所の判断と行動を疑問視し、親の外見に惑わされることなく、専門的知見の養成を求めている。一方、親に無断で児童を一時保護することを〝拉致〟だとして、法の改正を求める声も少なくない

▼児童福祉法、児童虐待防止法は必要に応じ、速やかに一時保護することを規定し、児童や保護者の同意は要件になっていない。「同意」を原則としてきた厚生労働省は28年、児相の運営指針を見直し、厳格な法の運用に転じ、一時保護後の親への告知を義務づけた

▼親と子のどちらに立つかは微妙で答弁に見る県の手続きに問題なさそうだが、保護者と児相が対立関係になった場合「担当者が粘り強く理解と協力が得られるよう努めている」と田中局長。その結果が服部議員の「おかしい発言」になっているのは間違いない。