2018年10月15日(月)

▼県人権・同和教育研究大会での稲垣清文副知事の障害者雇用率に関する陳謝は丁寧を極めた。「世界人権宣言70年の節目の年」など、人権関連集会でもなければ聞かない事柄もあいさつに入れたが、人権関係団体の代表らは障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消推進法、部落差別解消推進法の人権三法が施行されてすでに2年になることを指摘した

▼目に見える改善への着手が見えないいらだちである。唯一条例が制定された障害者差別解消で、信頼を裏切る行為が連続した。雇用率水増し問題だけではない。4月の県の機構改革では、障害者問題を所管する子ども福祉部が多目的トイレのある4階から、ない2階に移動し、障害者団体から抗議を受けた

▼県のユニバーサルデザインのまちづくり推進条例は、障害者、高齢者等が利用する公共施設のトイレについては多機能トイレの設置を義務づけている。平成11年の制定で、すっかり忘れていたのではないか

▼10月施行の県の障害者差別解消条例は、ユニバーサルデザイン条例とともに共生社会実現を目指すことを目的にしている。障害のあるなしにかかわらず等しく基本的人権を持ち、としているが、ユニバーサル条例は障害者駐車場を「思いやり駐車場」と命名したままだ

▼障害者権利条約批准に伴う障害者各法が障害者も障害のない人と同等の権利を持つことを基本的理念とし、同情や哀れみが加わる「思いやり」という概念を否定している。県は既条例とのチェックはせず、権利の概念は乏しいままなのだろう。起きるべくして起きた不祥事なのである。