▼県当局と共産党の〝バトル〟が県議会の名物(本紙『記者席』)という。水道料金引き下げを巡る山神秀次企業庁長の同じ答弁の繰り返しが、その結果、議場からの「ええ答弁や」という援護射撃による議会のパワーバランスで許されてしまうとしたら県民にとっては不幸なことだが、山神企業庁長にとっては気持ちがいい答弁ができた日ではないか
▼長良川河口堰からの津、松阪両市への水道水供給に北伊勢工業用水の導管を暫定使用している問題で、専用施設など建設せず暫定を継続すれば料金引き下げになるという岡野恵美議員(共産党)の提案に、山神企業庁長は「工業用水の増量要請に適切に対応する」ためにもいつまでも間借りさせておくわけにはいかないという趣旨の答弁ができたのだ
▼工業用水と言えば長良川河口堰分は利用者はなく、三重用水分も富士通用に新設した多度工業用水が同社撤退で廃止。水利権に巨額の県民の税金を払い続けている。ユーザー獲得に「企業庁は本気で取り組んでいるのか」と議会から怒りの声があがる。その都度企業庁は水需要減を説明し、水道水見通しも同じ。「増量要請に対応」などは言えない言葉である
▼国土交通省がかつて水供給ネットワーク構想を打ち出した。水需要見通しが大幅に低減し、地方自治体の負担増は深刻。農業、都市用水別の水利権を統合する構想だ。水余りの中での暫定使用廃止は用水別の水利権という考えが依然健在で、固定させる動きでもある
▼共産党だけにまかせていい話ではないし、共産党の得点になるのは気に入らんという話でもない。