2018年9月1日(土)

▼県児童相談センターを訪ねた安倍晋三首相に、鈴木聡センター長はタブレット端末を利用して虐待事案を情報共有する仕組みを紹介した。児相の負担軽減策として市区町村との情報共有が指摘されている。実施していますよというアピールか

▼厚生労働省が、昨年度の児童虐待の相談や通告を受けて対応した件数が過去最多を更新したと公表した。やはり過去最多だった県の5月の統計も含んでいよう。両親間の暴力を児童の心理的虐待と見なす警察の通告の増加が原因とあげるのも共通している。ちょっとした夫婦げんかにもかり出され、ありがた迷惑のニュアンスを隠さない自治体もあるようだが、県はどうか

▼県は県警と昨年に情報共有の申し合わせをしたことが増加した理由だとしていたが、その2カ月後の8月、さらに早期発見に向けて県警や全市町と情報をリアルタイムで共有する協定を結んだ。タブレット端末なしでは機能しないに違いないが、増え続ける件数に的確に対応できるだろうか

▼同時に要保護児童対策地域協議会(要対協)実務者会議に県警の参加を義務づけている。ねらいは、昨年のカナダ視察で学んだ「子どもと若者のための権利擁護センター」だろう。警察、司法、心理、児童福祉関係者がそれぞれ相当数集結して早期介入をしていく国をあげての組織と同列には運用はできまい。日替わり対策が負担を増やしていると嘆く関係者が少なくないことが気になる

▼タブレット端末の説明を聞いて首相は「児相の体制拡充や充実に努めたい」。やはり、児童福祉司2千人増加策が一番と思ったか。