2018年7月23日(月)

▼国会閉会間際にカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立し、いささかの徒労感がある。法案登場直後、また賭博で振興策かと、形を変えて繰り返されてきたこの国の発想の貧困さを笑った記憶があるからだ。法案を巡るその後の曲折が、本質は知性からの反撃と期待したが、不屈の打算の足跡だったというだろう

▼多くの報道機関もまた、徒労感を感じているのかもしれない。今国会は比較的同調する問題が多かった。森友・加計問題では安倍首相夫妻の関わりが明るみに出たし、特に財務省の決済文書改ざん問題に対し国民を欺く行為という批判では一致していた

▼働き方改革では厚生労働省のずさんな調査がもとになっていてあきれたが、参院の定数を6増やす改正公職選挙法とともに成立してしまった

▼いわば全力で問題点を明らかにしてきたのに、そのマスコミの世論調査は、安倍首相を総理ナンバーワンにまで押し上げた。民主党政権が誕生した時、テレビ朝日報道局長が自民党政権崩壊をめざして報道したとして国会喚問までされたが、いまや政権へのそんたくさえ問われる

▼世界を偽ニュースが覆う。定義は多様だが、人は知りたいニュースを知るという箴言は、ネット社会の中では多分に当たっているのだろう。知りたくないニュースには耳をふさぐということでもある。ストレスが極限に達した時、人は脳の活動を停止して心をとざす。うつ状態である。そうはなりたくない防衛機能も備わっているに違いない

▼民主党政権への反省もトラウマとなり、政治へのストレスを発散しにくくしている。