2018年6月7日(木)

▼観光入り込み客数が2年連続で過去最多を更新したことを発表して、鈴木英敬知事が「伊勢志摩サミットのPR効果や全国菓子大博覧会(お伊勢さん菓子博)の開催で伊勢志摩を中心に来場者が増加した」。1年を経てなおサミットの余光が伊勢志摩の地にあり。めでたい

▼発表と同日の県議会で7年間「全力で知事の職務に取り組んできた」。サミット誘致を実現した知事の功績を改めて印象づける効果もあったか。「一つ一つ成果にこだわる」「正念場となる年度」などの言葉が、何やら一体の意味として脳裏に刻み込まれぬでもない

▼惜しむらくは、サミットの象徴でもある神宮への観光客が微増しているにもかかわらず、外国人観光客は微減だったことだろう。サミットの年が急増した反動だとしても、歴代知事に数倍する外国訪問で観光客誘致を狙いの一つにあげていた。MICE(国際会議等)誘致や富裕層誘客などの成果が正念場の年に間に合わなかった

▼一人当たりの前年度比利用平均額が宿泊客は653円減の2万5784円で、日帰り客が960円増の6304円というのも、課題がむしろ深刻化していることを物語る。国の観光白書によると、外国人観光客数は5年連続過去最高で、一人当たりの消費額は減少している。県は全体のパイ拡大のカヤの外で、消費額減は同調という格好だ

▼県の観光方針は消費額減少対策について、滞在型観光拡充と「観光の産業化」をあげる。増えている日帰り観光客をどう満足させるか、宿泊型観光からの発想の転換がしにくいのが悩みといえようか。