2018年5月20日(日)

▼前財務事務次官のセクハラ問題で数多くの関連報道、論説記事を読んだが、衝撃を受けたのは全国紙の論説委員が「テレビ局側も反省すべきだ」と指摘したことだ。女性記者に取材させて政治家をいい気持ちにさせ情報を得ようとする手法はやめるべきだというのである

▼マスコミ業界の話に特別疎いとは思っていない。辞める女性記者が多くてと共同通信の理事から聞いたのも20年近く前だ。新人定番の警察を担当させるが、セクハラ発言の洗礼を浴びて辞表を出すという。県でも、県警本部の要職に内定しながら東紀州の副署長に転じ周囲を驚かせたことがある。女性記者へのセクハラのためといううわさだった

▼予定の要職に就いたのはそれから五年後くらいだったか。「ほとぼりが冷める」は捕まえる側と捕まえられる側共通の感覚かとおもしろかった。町助役に就いた顔見知りの県OBに抱きつかれたとか、旧自治省出向の県財政課長が情報をエサに女性記者と深い関係になったというのは本人から聞いた。特ダネを取れの号令は慎重にならざるを得なくなった

▼激しい取材競争がセクハラ問題の背景にあることは確かだろう。テレビ朝日もその意味で加害者だが、先の全国紙論説委員の指摘は思いもしなかった。事実なら上司が対応をためらったはずだという気もしてくる

▼性暴力の被害者と報道関係者らの団体が女性記者は複数回セクハラ被害に遭っているとして、日本新聞協会や民放連に相談制度構築を求めた。業界内の体質調査も求めるべきだったかもしれない。