大観小観 2018年5月6日(日)

▼麻生太郎財務相がまたおもしろいことを言っている―「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」。「法には違反していない」というお得意の発想か。道徳教育を強化しようと学習指導要領に盛り込んでも、子どもらが「道徳に背いても罪ではない」と言い出したら政府のトップとしてどうするか

▼刑法の「強制わいせつ罪」に触れなければ、男女雇用機会均等法の「セクハラ」など処分の理由にもならないということか。安保関連法以来、法の解釈は自分たち次第だと思い込んでいるのかもしれない

▼「こどもの日」が「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という祝日法の定義通り、この日が法律上の「母の日」と言う人はまずいない。法は解釈次第というのは、案外日本人共通の考え方か。女子の記念日が別にある「こどもの日」は男子の健やかな成長を願う日という伝統に特化されているように感じなくもない

▼日本の祝日の多くは記念日だが、ハッピーマンデー制度で変わった。消費拡大や余暇活用など政策的誘導が入り、東京五輪の祝日移動でますます祝日より休日の意味合いが濃くなった。ゴールデンウイークもみどりの日が加わって大型連休の位置づけがより強まった

▼憲法記念日は昨年からの1年間の自身の努力で改憲議論が活性化、具体化したというのが安倍首相だが、こどもの日は「人格を重んじ、幸福をはかる」ことが活性化、具体化する呼びかけがあったなどとは聞いたことがない。子どもの数37年連続減の衝撃の背景かもしれない。