▼財務省事務次官のセクハラを報道したいと当該女性社員から相談を受けた上司が「難しい」と却下したというテレビ朝日の発表は身につまされる話だった。自分ならどうしたかと重ね合わせてしまう
▼取材する側とされる側の一対の女と男を見て、セクハラの前提の一つである上下関係が成立しているかどうかは判断しにくい。財務事務次官ほど露骨でない内容なら、セクハラ発言かどうかも個別判断になる
▼記者時代は女性記者はライバルで、長年信頼関係を築いた取材相手が競争紙の新米女性記者に思いもせぬ重要情報をぽろりと漏らしてしまうのが脅威だった。そう言ったら「おたくの○○さんにはかないませんよ」と言われた。えっ、うちの、と驚いたが、人間関係ははた目では分かりにくい
▼相談を含め、似たような話を聞いたことはあるが、いずれも当該女性記者が表沙汰になることを嫌った。県教委幹部が妙に体を近づけてきて、手がおしりに何度か触れたというのもその一つ。抗議しようと言ったが止められた。何度かこの欄で書いたから記憶している読者もおられよう
▼そういえば、あいつはなれなれしく体に触れてくるなという男性がした。ご当人は私は決してそのような、と釈明した。録音データがあれば勇んで突っ走った気がするが、男と女ではまた違おう
▼取材で得た情報を週間誌に提供したことは遺憾とテレ朝報道局長。女性記者の行動に疑問を持たせるかのような発表が気にかかる。テレ朝の対応には賛否渦巻こうが、「(当該)社員の人権を徹底的に守っていく」発言には違背なきことを。