知事選(任期満了来年4月20日)と県議選(任期満了来年4月29日)が実施される統一地方選前半戦まであと1年となった。12月県議会での表明が通例であるため、現在2期目の鈴木英敬知事(43)の態度表明はまだ。3選出馬は濃厚と見られているが、衆院選出馬も常に取り沙汰されており、動向に注目が集まる。県議選は定数問題で混乱が続いていたが、今のところ現状維持の51で議席を争う見込み。統一地方選後半戦は津市や鈴鹿市長選が行われ、夏には参院選も控える。来年の選挙イヤーに向け、県政界は走り出した。
■知事選
巷間ささやかれているシナリオは、鈴木知事が3選出馬したうえで、3期目途中で行われるであろう衆院選にくら替え出馬するパターン。県関係者は「北川、野呂県政と2代にわたり2期だったので、2期務め上げれば合格点との下地はある」との見方。
「50代、60代になった『知事の英敬ちゃん』なんて誰が見たい?県民も国政転身に理解を示すのでは」とする。
知事の初出馬から支援してきた自民党県連は、仮に知事が3選出馬となれば、引き続き支援する見込み。県連関係者は「定数問題でも、知事は45にすべきだと言っていた」と述べ、知事と自民は気脈が通じていることを強調。人気者の知事と二人三脚で統一地方選に臨みたい考えだ。
一方、民進党は「知事が態度表明してから検討する」(県連幹部)。2期目選挙で知事の応援に回ったにも関わらず、前回参院選で自民候補を支持した知事に対し、民進や連合三重が怒り爆発。
対抗馬も辞さない構えといきたいところだが、肝心の党が昨年衆院選で立憲民主、希望と分解し、足元がおぼつかない。いまだ参院選候補も決まっておらず、予備選の導入を主張する岡田克也衆院議員と、選考会で決めたい芝博一県連代表とで意見が分かれているのだという。いずれにしろ、知事選の優先度は低いと見られる。
表立った対抗馬も見当たらず順風満帆といったところだが、知事を視界不良にしているのは国政状況か。
安倍晋三首相と近いとされている知事。その首相が森友問題や防衛省の日報問題で危機に陥っており、「場合によっては年内解散もありうるのでは」(自民県議)との声も。安倍政権の行く末を最も案じている一人が知事かもしれない。
■県議選
定数問題は取りあえず51で決着。いったんは次期選挙から定数45となり、南部の一部で選挙区割りも変わることになっていたが、3月議会で現状維持が決まり、前回選と変わらない選挙区、定数で臨む。
ただ、定数問題が選挙に尾を引く可能性もある。一部を除き大半が定数45を支持し、51に戻すことに反対した自民県議は、県民から反発が相次いでいることを背景に、51に賛成した議員への対決姿勢を鮮明にする。
特に民進系で連合三重の支援を受ける最大会派「新政みえ」の大部分が賛成に回ったことで攻勢を強める。自民県議らは「新政みえの賛成は三教組と県職労の意向が働いた」として、組織防衛に組し、大義を失ったと糾弾する。
とはいえ、ベテランを中心に賛成した県議もおりジレンマも抱える。元自民県議は「筋が通らん」と憤るも、県連では賛成議員を処分する考えはなく、公認申請があれば認め全員当選を目指すとしている。
新政みえも反対議員が離脱するなどしたが、選挙戦においては従来通り連合三重を軸に民進の支援も得て臨む見通し。鳥羽など空白区に擁立したいところだが、過去の国政選挙でも南部の地盤沈下に歯止めがかかっておらず、体力があるかどうか。
定数問題をめぐり批判の矢面にも立つ。が、ある県議は「1年かけてきちんと説明していきたい」としつつ、「財政問題を持ち出し定数削減を言う議員がいるが、ならばその本人が今すぐお辞めになり、財源捻出に一役買えばいい」と強気の姿勢を崩さない。