2018年3月10日(土)

▼審議会や検討会は行政庁が市民参加を大義名分に行政を思い通り運営するための隠れみのという見方は少なくないが、これがその証明ですとはっきり世間に分からせる例は珍しい。伊勢市は「総合計画」を策定するために諮問した審議会の提言を退け、市独自の案で意見公募(パブリックコメント)を実施する

▼「残念」とした上で会長の皇學館大学現代日本社会学部・新田均教授「審議会が出した案をどうするかは市長に権限があるが、どんな案を出すかは我々にまかせてもらえないと、外部から人を招いた意味がない」。正論だが、悲哀に満ちている

▼奇妙な審議会ではあった。事務局の要旨編集で、微妙なニュアンス等が「表現されていない」と予防線を張った会議録要録だが、基本計画は「行政計画として事務局に案の策定をおまかせいただきたい」。審議を踏まえて文案を作成するのは事務局の作業だが、「案の策定」という表現は、案の内容は事務局が責任をもって作るので、審議会はそのための参考になりそうな意見をよろしく、と言っているようである

▼その言葉どおり、審議会が「郷土を愛し」の一節を加えるように求めた結論を市教委は無視した。「不都合な理由があるのか」の委員の問いに、市教委は、全国的な一般化された指標を使うことで「様々な地域と比較できる」。「郷土を誇りと思いますか」と聞くと、子どもたちはそのように思い、答えなければと思ってしまう、とも

▼学校教育を一番知っているのは自分たちで、飾りは飾りの立場をわきまえていただきたい、と言っているようである。