2018年2月18日(日)

▼バス転回場の高額賃料問題を追及する伊賀市議会百条委員会で、問題の土地の契約先企業から市議の長男が契約前に退社したことについて、企業の代表社員が「種々の疑念を持たれないようにしたのではないか」

▼痛くもない腹を探られたくないということだろう。潔い身の処し方ということだろうが、疑念を持たれることを予想して先回りしたとも受け取れる。どちらだろうか

▼契約の橋渡しをしたとされる父親の市議自体は、この日の証人喚問で、契約の詳細な経緯は「思い出せない」と繰り返し、市への働きかけは「一切ない」。市職員から賃借の打診を受けたことは明らかにしながら、時期は「分からない」。国会などでよく見た光景を思わせる。罰則もある百条委員会に臨む政治家として当然の用心と言え、清廉や誠実などの言葉を差し挟む世界ではないということだろう

▼打診した時に土地を所有していた企業の代表は市議の妻で、契約先の企業へ土地を売却した前後には代表を交代していた。新代表の次男はやはりこの日の証人喚問で、契約の詳細な経緯について「分からない」。引き継ぎを受けていないことを示唆している。父親が疑惑を持たれている以上、当然の答弁と言えようか

▼「疑念を持たれないようにした」という先の代表役員の証言は、推測の形とはいえ、家族ぐるみで、疑惑を持たれることに備えてあれこれ手を打ったことをうかがわせはする。疑惑などへの議会の追及は審議すればするほど実体が見えにくくなりがちだが、一方で市長の関与の有無など、疑惑は確実に拡大する宿命にもある。